Home > OT・フェイ・イェン・ザ・ナイト | メッセージ | 開発秘話 > 「フェイ・イェン・ザ・ナイト/ハイエンドCGについて」

「フェイ・イェン・ザ・ナイト/ハイエンドCGについて」

セガの森氏によるフェイ・イェン・ザ・ナイトのハイエンドCGモデリング秘話です!
11年経っても色褪せない、その秘密とは…?

フェイ・イェン・ザ・ナイトは自分が作ったハイエンドCGモデルとしては、OT・テムジン、OT・ライデンに次いで3番目に古いモデルとなります。作られたのは1998年の事です。当時、世のCGクリエーター達は3DCGでのキャラクター表現(メカ、生物問わず)に関して、新たなステップを迎えていました。それは当時のCGツールの機能的な限界や、もっと直接的に、高価であったCGツールの価格の壁を前にし、今できる範囲で、よりリアリティのあるキャラクターはモデリング出来ないのか?という事への挑戦の時代だったと思います。原型師からCGモデラーに転身したばかりの自分も、それまでの3DCGモデルが「いかにもCG」、「CGだから凄いでしょ」みたいなところに止まっているように見えることに歯がゆさを覚え、それらを克服すべく四苦八苦した事を覚えています。そしてOT・ライデンで、真っ黒くて太いスジ彫りや細かい角落としという技法を開発し、まずは一つ、そのハードルを乗り越えました。そして次のフェイ・イエン・ザ・ナイトでは『描線に抑揚をつける』という技法…技法というよりは考え方を手に入れました。擬似的とはいえ立体物である3DCGに『描線』というのもおかしな話かもしれませんが、立体といえども面と面、色と色の境目は線という形で認識されます。そのような線に抑揚をつける事で3DCG特有の『硬さ』や『冷たさ』を無くすことができるのではないか?という有井氏の発想を得ることにより、現在まで続くバーチャロンのハイエンドCGモデルの基本フォーマットが完成したのです。
…とか真面目に語ると、ずいぶん堅くてカッコいい話に聞こえますが、当時のやり取りは…

森/こんな感じでどう?
有/ダメ、可愛くない。
森/えー、こんなもんじゃない?
有/ダメ、これじゃ結婚したくならない。
森/結婚て…じゃあどーしろってのよ!!
有/ここはさあ、もっと膨らんでて、そのままギューっと引っ張って…ここで絞ってやると、ほら!可愛い部品になるじゃない?
森/『可愛い部品』って新しい概念だなぁ・・・。
有/フェイはね、可愛い部品が集まって出来てる、可愛くてカッコいい女の子(ロボット)なんだよ♪
森/ふむ…んじゃ、ここはこうすると可愛いのか?
有/やりすぎ!それだと可愛すぎてメカに見えないよ~。もうちょっと、メカとしてのカッコよさが欲しいな。
森/あー、分かってきた!…んじゃ、これでどうだ!?
有/うはぁ、そうそう!!
森/なるほど、理解した!直線や平行に見えるところでも、ちょと曲げてみたり歪めたり、面の大きさに変化をつけたり、さらにその具合をコントロールすることで、何気ない形でもカッコよくなったり可愛くなったりするんだな!こりゃ大発見!!
有/にゃ~、好き~♪結婚する~(ゴロゴロ)
森/……

今にして思えばこの時の有井氏の「結婚する」発言は、近年の「~~はオレの嫁!」という概念を先取りしているとも言える訳で、こんな所でもオラタンの先見性を垣間見ることができますね…いや、それはどうでもいいんですが。
なにはともあれ、そんな思いで作ったのももう11年前。今回プラモデル化するにあたり、修正が必要な部分もありました。時間が無くてポリゴン割りが荒くなってしまった為に曲面が凸凹してたり、単純に技術不足で思ったような形が出てなかったり、見えないから作ってない部分があったり…。ただし、基本形状については問題は無いと思いましたのでパッと見た感じでは変化は無いと思います。一番変わったのは、CGだからいいやと思って浮かせっぱなしにしていたスカートまわりをフレームで胴体に接続したところでしょうか。
ツインテールはデザインとしてはやっぱり浮いていた方が断然可愛いので、プラモデル用原案として強度も考えて接続部をモデリングしましたが、CGでは依然として浮いている形とします。その代わりという訳ではありませんが、スカートの裏側を含む接続部は上記のようにメカと可愛さの両立を目指して頑張って考えて作りましたので、プラモデルとしてお手元に届けられた際はそういった所にも注目してくれると嬉しいです。

Home > OT・フェイ・イェン・ザ・ナイト | メッセージ | 開発秘話 > 「フェイ・イェン・ザ・ナイト/ハイエンドCGについて」

[Search]
[Feeds]


Return to page top