- 2009-12-04 (金) 12:15
- OT・10/80sp | 作例 | 開発秘話
監修は楽しみでもあり、真剣勝負の場でもあるのです…。
森/と、言う訳で原型が出来たら次の工程は、金型製作と完成見本用の塗装品製作の2ラインに分かれるわけだけど。
野/はい、原型は工場へ送って、完成見本は原型の複製品を塗ります。要するにレジンキャスト製のガレージキットみたいな物ですね。
森/個人的にはレジンの方が馴染みが深くて、懐かしくもあり…。あのキシレン臭、サフの甘い匂い。なにもかも懐かしい…。
野/森さん?大丈夫ですか?
森/あ?ああ、うん大丈夫だ。で、今日は何の話をするんだっけ?
野/原型が出来たので、次の工程ですよ。金型か塗装か。
森/じゃあ、今回は塗装の方にしようかね。まぁ、10/80spがどんな色か、っていうのは過去の資料を見れば一目瞭然なわけだけど、10/80spに限らず、このシリーズでは毎回色指定をきっちりやってるわけですよ。
野/はい、デザイン用のカラーチップやハイエンドCGモデルのレンダリング画像を紙へ出力したものを頂いてます。
森/そうそう、カラーチップもそのものズバリな色があるわけじゃないから、「この色とこの色の中間で」とか「この色の彩度を少し落とした感じで」とかね。実際に来てもらって、顔を合わせて相談や指示をさせてもらってるよね。
野/そうですね、実際に紙やチップを見ながら説明して頂いているので分かりやすいです。
森/そうなんだよ。この紙やチップっていう現実に有るものに置き換えるのが、実は凄く大事でね。今のご時勢、メールで画像を送ってやりとりすれば楽なのに、と思うかもしれないけど、パソコンのモニターって、意外と色の設定がまちまちで、自分のモニターで見えてる色が他のモニターでも同じに見えるか、って言うところに確実性が無いんだよ。だからわざわざ出力したりして、確実な「物体」を基準としてやりとりしてるんだよね。あと、ネット社会になり、顔を合わせなくてもなんとなく物事を進められるようになって、その中で置き去りにされつつある「実際合ってコミュニケーションする」ということの重要性も訴えたいんだよ!
野/こ、こんなプラモの紹介ブログで、そんな深いテーマを!?
森/すまん、それはちょっとウソだ。言ってみたかっただけだ。
野/すいません、分かりにくいです、それ。…で、話を戻して、そうまでして色を決めても、まだ決定稿ではないんですよね。塗装品監修でリテイクも出ますし。
森/ごめんね~。やっぱり、15cmくらいの立体物になった時の「色の映え方」っていうのもあるからさぁ。「う~ん、悩んだ末の指定だったけど、やっぱり濃すぎたか…」とか「この色、意外と立って来ないなぁ」とかね。
野/CGでのRGBをそのまま塗料にしてもダメな時もありますよね。ですから前にも言ってましたけど、そういう修正を経てプラモデル用に色をコンバートしていくって事ですね!
森/そう前向きに捉えてもらえるとありがたいわ。というわけで、塗りあがった完成見本がこちら。
野/お互いにしっかり考えて、きっちり工程を経て、手間をかけたんですが、いかんせん地味ですね…。
森/まぁそう言うな…この地味なところが「味」なんだから。
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