どうも、セガ AM3研の森です。
今回はコトブキヤさんの 「ハイエンドCGモデル」から「プラモデル」へのリバースコンバートについてお話しさせて頂きます。
まずは、「ハイエンドCGモデル」 とは…
バーチャロンシリーズにおいては実際にゲーム中で使用されているCGモデルとは別に、主にパブリシティ(宣伝)に使われる、より詳細に作り込まれたハイディティールのCGモデルが存在します。
これを「ハイエンドCGモデル」と呼んでいます。今回のコトブキヤ・バーチャロンプラモデルシリーズはそのハイエンドCGモデルをベースとする手法で開発されています。
では具体的にどのようにCGからプラモデルが設計されるのか、その秘密をご紹介しましょう。
なんとなく素人考えでは、CGモデルがあるならそれから直接CAD(設計)データを作れば良いじゃん!と思ってしまいますが(実際私もそう思ってました)現実はそう単純ではなく、CGモデルの制作方法によりその難易度が変わってきます。
セガで作られたCGモデルはCADデータにすることにはあまり向いていない作りでした。
更にコトブキヤさんではプラモデルを、原型を3Dスキャニング→3D-CADデータ制作→金型制作という手順で開発しています。『まずは原型ありき』なのです。
このような事情から考えられるシステムとは…
まずはハイエンドCGを現実の立体物にする事から始まります。
複雑で繊細なハイエンドCGをどのような手段で立体化すべきか?
そこで最新の立体出力技術の登場となりました!!
とは言え、ハイエンドCGのデータを立体出力機に突っ込めばそれで済むというものではありません。
ハイエンドCGは主に印刷、ディスプレイ上(二次元)で使用される事を目的としている為、立体として破綻している所も実は多々あるのです。(ポリゴンが食い込んでいたり、厚みがゼロだったり)
ですからハイエンドCGモデルを立体出力に適したCGモデルに改造しなくてはなりません。
幸いにして、今回とても素晴らしい立体出力技術を持つ造形会社さんにその作業を担当していただける事になりました。
ハイエンドCGモデルを立体出力用データにコンバート、その後パーツ分割や曲面の処理等を行い、立体出力可能なCGデータが完成します。
そしてようやく下記のようなシステムが完成します。
1:ハイエンドCGモデル
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2:立体出力用のCGモデル(立体出力に適したパーツ分割等を行う)
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3:立体出力(一次原型/固定ポーズのガレージキットの様な状態)
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4:関節部等加工(二次原型/関節可動のガレージキットの様な状態)
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5:パーツ分割案製作
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6:原型を3Dスキャニングして3D-CADデータ制作(プラモデルのパーツとしての設計を行う/色分け分割、勘合の設定等)
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7:金型制作
一見まわりくどい様に思われますが、二次原型の状態は形状的にほぼ完成形と同じであり、それを実際に手に取ってボリュームを確かめ、関節の可動範囲等を検証しながら監修が出来るという事はとても重要なのです。
それに、なによりテンションが上がります。毎回監修が楽しみでたまりません(笑)
加えて、パーツ形状はハイエンドCGと基本的に同じ物なので『似せる』事に労力を使わなくて良い分、ギミックや開発スピードにパワーを注げます。これもまた大きな利点ですね。
デジタルとアナログの技術の融合、そしてそこに込められた情熱とこだわり!
このようにしてコトブキヤ・バーチャロンプラモデルシリーズの開発は進められているのです!!