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「バイパーII・ハイエンドCGについて」

セガの森氏による、バイパーIIのハイエンドCGモデリング秘話です。森氏にそんな弱点があったとは…
 
こんにちは、セガの森です。今日はバイパーIIのハイエンドCGモデルについてお話させていただきます。
バイパーIIにもOMG当時に作られた旧モデルとその後、新規で作られ今回のプラモデルの元となった新モデルが存在します。新モデルは模型雑誌で展開していた小説に登場する、「バイパー540SH」という、バイパーIIとオラタンに登場する「サイファー」を繋ぐ位置づけの機体を製作したときに副次的に製作されました。実は旧モデルのバイパーIIは、新モデルのフォーマットに近い仕様に基づいてモデリングされており、当初は旧モデルをベースに540SHに改造しようと思った程なのですが、モデリングツールの不可逆性や仕様の細かな違いが障害となり、結局一からモデリングし直すというおそろしくコストパフォーマンスが悪い事をやらかしています。仕事としては決して褒められた行為ではありませんが、若気の至りとでも言いましょうか、とにかくそうしなければ気がすまなかった記憶があります(笑)
そんな訳で、バイパーII(SH540)をモデリングしたわけですが、ここで更なる障害が発生しました。前回の「バイパーII・原型を見て」でも語っていますが、どうにも自分は「細身でとんがったメカ」に対して今ひとつカッコよさのツボがピンと来ないという弱点があったのです。面白いもので、ロボット物のモデリング(模型も含む)はその作者の体格によって「細さ太さの表現」に差が現れることがあるように思えます。それは自身の体格をそのまま反映したり、逆に理想の体格が反映されることもあるようです。私の場合、自身が骨太でがっしりしている為でしょうか、そのデザインが許す範囲で出来る限り頑丈そうに、安定感を感じさせるように作る傾向があります。それは長所でもあるのですが、バイパーIIのような「華奢で鋭い」ロボットを作る時には、その魅力をスポイルする両刃の剣でもあります。私も長年にわたり模型&CGでロボット造型に携わっていますので、自身のそういう傾向は理解していました。しかし理解しているからと言ってすんなり弱点を克服できる訳ではありません。
ですからまわりの意見を聞きつつ、様子見しながらのモデリングとなったのですが、途中で同僚に見てもらっては「まだ太い」だの「やり過ぎ、とんがってりゃ良いってもんじゃない」だのと、容赦の無い突っ込みの総攻撃を受け、泣きながら修正を繰り返したのもいい思い出ですおぼえてやがれコンチクショウ

 

その甲斐あって、出来上がったモデルは細身のメカ好きから「OK!バッチリ!」と言ってもらえる物にはなったのですが、正直、完成した後も自分の中で評価の定まらない、座りの悪い存在でした。しかし、今回、原型として立体化されたバイパーIIを見たとき、素直に「なんだ、バイパーIIってカッコいいじゃん!!」と思うことが出来ました。時が経って私がそういう価値観を学習できたのか、それともやっぱり模型好きということで、立体化されないと真価がわからないのか、またはその両方なのかはわかりませんが、今では自信を持って「オレの作ったバイパーII、カッコいいだろ!」と言うことができます。


 
みなさんの目にはどう写りますでしょうか?気に入っていただければとても嬉しいです。

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