OT・ライデン Archive
「中国工場開発担当・菅野よりコメント第2弾(苦労話編)」
2度目の登場となります、中国駐在・工場はり付き開発担当の菅野です。
今回は「世界名作劇場的な苦労話を」という感じで、そのあたりの話に触れてみたいと思います。
コトブキヤのバーチャロン・シリーズでは、ハイエンドCGから直接1次原型を作成するという「リバース・コンバート」なる技法がもちいられております。
開発・菅野がタッチするのはそのあとの、1次原型をさらにプラモデル用のデータとして変換する作業でありますが、たとえば有能な通訳さんが、自国語を他国語に完璧に変換することは難しいがごとくに、変換工程において、どうしてもわずかな「ニュアンスの相違」的な変換齟齬のようなものが生じることがあります。
それは、概ね1次原型の細かな部分で生じます。たとえばエッジとエッジがぶつかる角のC面の微妙な形状の差異だったりとか、はたまた、小さなモールドの「わりと表現レベル」の形状のわずかな狂いだったりとか….。それらはすべて修正対象となりますので、
●部品図面チェック
↓
●3Dデータチェック
↓
●光成形出力機による金型前成形サンプルチェック
●さらに金型を彫ってからも、成形サンプルのチェック
この様に、さながら絨毯爆撃的な確認・修正業務が続きます。
原型とハイエンドCG画をもとに、ひたすらに見比べて確認する毎日でありました。そんな日々も、生産が一段落した今となっては、良いおもひでであります。
そんなこんなで、ひたすらにもくもくと日々=(イコール)ハイエンドCGな確認業務を続けておりますと、当然といえば当然ですが、開発期間は百代の過客のごとく、どんどん過ぎていきます…….。
「ヒト・モノ・カネ」とはよくいいますが、プラモデル開発も同様に、この三命題の束縛から自由なわけではけっしてありません。
金型がいったんできてからも、実際に商品となる状態までは、何度もテストショットをくりかえして厳しいチェックをしていきますが、特にこの段階では、日々時間との戦いの様相を呈してきます。
生産開始までのスケジュール管理、中国人の現地スタッフとの金型修正の相談、はては工場駐在ゆえの、コトブキヤ本社とのさまざまな折衝等、日々時計の秒針音が「カチカチ」と脳内にコダマする、そんな仮想ドーパミン的な仕事がつづきます。わりと普通には見えないものが、見えるようになったりするときもあります(羽の生えた小人とか。パトラッシュ、僕はもう疲れたよ…)。
まあ、すでに出荷が近づいた今となっては、めくるめく人生、有彩色の1ページであります。
OT・ライデンに限ったことではないのですが、中国の現地スタッフとのコミュニケーション・ミスはわりとよくある話しです。
今回も成形サンプルを確認中に、1次原型には存在しないナゾの凹モールドを確認したため、(金型を)削って無くしてくださいとの依頼を欠けたところ、近接した本来必要な凹モールドも同時に消失(!)したなどを筆頭に、いろいろさまざまなミステイクのうえに、また「失敗は成功の母」がごとくに、製品版のOT・ライデンがこの世に存在しているのです。(問題の凹ディテールは、その後無事復旧しましたが….。(頭部のどこかデス))
そんな数々の失敗も、今となってはまるで無限に繰り返される学園祭前日のように、極彩色な夢の時間をすごしていたようなものでありました…..。
わりと長くなってしまいましたが、そろそろ時間がよろしいようですので、このあたりで。
ぜひとも製品版OT・ライデンをよろしくお願いいたします!!
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OT・ライデン付属品について語ります!
こんにちは、コトブキヤ・バーチャロン企画担当の根本です!
ついに発売間近となってまいりましたOT・ライデン!!
今回は、成型部品以外の付属品についてつらつらと語ってみたいと思います。
まず、プラモデルキットには当然入っている「組み立て説明書」模型業界的には「インスト」って呼んでますね。 インストラクションの略で、「インスト」って呼ぶとプロっぽい感じが出ます。 で、まあ、これがなくてはプラモデルは成り立たないわけです。
今回のOT・ライデンの説明書では、「電脳戦機バーチャロン」シリーズ・プロデューサー、Dr.ワタリによる機体解説+αを、当初の予定をはるかに超え、何と10000字オーバー! で載せちゃってます!
ここまでの量になるとはDr.ワタリも予想していなかったらしく、(当然我々も予想できてません!)当初のページ数や構成を変更するという事態にあいなっております(いや、ありがたいことです!)新規のハイエンドCG画像も多数掲載されていますので、気分はもう小冊子レベルです!(さらに、あっとおどろくネタも仕込んであります!)
OT・ライデンの組み立てに疲れた時などに、気分転換の読み物としても楽しんでもらえばと思います。
また、カラーガイドについても、何気にセガさん提供のハイエンドCGを使わせてもらっていたり割と贅沢なつくりになっております。 市販のプラモデル用塗料に準拠した配合比率(カラーレシピ)も、もちろん載せてますので、ぜひ塗装にもチャレンジしてくださいね!!
このカラーレシピ、さすがにセガさん提供というわけではないのですが、(まあ当然です)元になった完成見本(パッケージ横の写真)に実際に塗った色を作った時に、使った色をメモしてもらってものを基本に記載しています。 ただ、完成見本は、撮影~印刷の工程を経ているので「現物=写真そのまま」にはならないのですが、色関係には超コダワリのセガ・有井さんがOKを出した完成見本の色ですので、目指してみるのも一興かと思います。
さて、もう一つの付属品として、デカールがあります。
バーチャロン・プラモデルシリーズに関して、マーキングを「水転写デカールで行こう!」と決めたのは他でもない僕、根本ですが、これもやはり「塗装派の方の為に!」ということです。
ハイエンドCGのような質感表現を目指すなら、光沢仕上げに綺麗に映える水転写デカールで行くしかなでしょう! と。(そしてスリット部の黒は艶消しで決まり!ですね)
もちろん、成型色での素組みでも綺麗に仕上がります(その場合は、成型部品表面の油分をふき取るとベストです)
当然、裏面にのり付きの所謂「シール」という選択肢も当然考えたわけです。シールはデカールに比べ簡単に貼れるというメリットがあり一見簡単に思えるのですが、やはり段差に対する処理(透明余白部分をギリギリまで切るなど)を考えると、結果的に高い技術を要求してしまうのでは、という事も水転写デカールを選択した理由です。
また、「水につける」というひと手間があるものの、逆に言えば、「それだけで綺麗なマーキングが施せる」とも言えるわけです!
といった感じで、成型部品以外の部分にもこだわり満載のOT・ライデン!
もう少しで皆さんのお手元に届きますので、小皿に水を入れてお待ちくださいませ!
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「OT・ライデン」パッケージについて
今回は森氏と有井氏による、もうすぐ発売となる「OT・ライデン」のパッケージついてのお話です。コトブキヤのバーチャロン・シリーズのパッケージはどのような考えを基に作られているのか…興味津々です!
森/箱、でかいな…。
有/うん、おっきい…(うっとり)。
森/こんなでかくて高いもの、一発目に持ってくるコトブキヤさんって度胸あるよな…。
有/男らしいよね…(うっとり)。
森/…それはともかく、このシリーズも有井君がパッケージ関係を全面的に作ってるわけだけど、どんなことを考えながら作ったのかな?
有/そーゆーの苦手。
森/またか! あのねぇ、それじゃ記事にならないでしょうが。なんか無いのか!?
有/うー、「コトブキヤのバーチャロン・シリーズはこれだ!」っていう「デザインのフォーマット」が見えるまで大変だった~。ハセガワさんとの差別化もあったし… OMGシリーズとも整合性もとらなきゃいけないし… でも、なんとか形になったよ!
森/確かに。同じ「バーチャロン」だけど各メーカーごとにカラーを出すのは重要だよな。
有/それでね、天面や側面のライデンのビジュアルは当時のイメージで仕上げたよ! エディトリアル(文字やレイアウト)の部分もOTっぽく、当時好きだった人には懐かしく、初めて見る人には新鮮に感じられるようがんばった~。
森/…そーいえば、側面の完成品の写真もスタジオまで行って撮影に立ち会ったよね。
有/そうそう、こういうの初めてで面白かった~♪
森/立ち会った、っていうかオレがモデルにポーズをつけて、有井君がファインダーを覗いて角度とか決めたわけだが。
しかし、撮影用のポーズつけとか懐かしかったなぁ。 昔、模型誌でライターやってた頃はよくやってたからね。 それに今回撮ってもらったのって、模型誌で撮影してたのと同じスタジオなんだよね。 みなさん、お元気そうでなによりです! って脱線しちゃったけど、それはともかくカッコいい立ちポーズとかさ、君もつけられるんだから次からは一人で行って自分でやりなさいよ。
有/嫌。森君がやって。
森/別にわざわざ二人で行かなくても済む話じゃん?
有/…壊すと嫌だからやらない。
森/あー、監修の時、原型を落っことして壊したことあるもんね~。 それがトラウマになってんだ?
有/うるさいなー! もう、それはいいじゃん!! とにかく、これからも撮影の時は森君がポーズをつけるの!!
森/ハイハイ、わかりましたよ、っと。
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「テストショット進行中!成型色も大変なのです!」
こんにちはコトブキヤ・バーチャロン企画担当の根本です。
さて、OT・ライデンも発売まで約一か月と迫ってまいりまして、開発の最新情報をお届けします。
現在、進行中のテストショットは設定の色を再現した状態で、成型されております。
この成型色ですが、すでにご覧いただいた塗装完成品の製作時に使用した塗料をそのまま、プラ板に吹き付け色見本サンプルにして、中国工場に送り「この色で作って」という感じでお願いしちゃっています。
中国工場では、その色付きプラ板に合わせて、各ランナーの成型色を調色して、中国スタッフ確認した後、日本のコトブキヤに送ってもらうのですが、これがなかなか一発では決まらなかったりします。
特に赤は彩度の高い、いわゆる「綺麗な色」を出そうとするあまり必要以上に透明感が出てしまい、少しチープになってしまっている印象をうけましたので、成型色として綺麗な発色を保ちつつ、「透けてチープにならないようギリギリのところを攻める」という調整をしてみました。そして赤とバランスを取るよう、その他のダークグリーン、グレーなど殆ど全ての色も、もう一段濃くなるよう調整を行いました。
実は初めて各ランナーが指定の成型色になったテストショットをセガさんにお見せした時には「綺麗でいいんじゃないの」と言ってもらえていたんです。本来コトブキヤとしては「開発が先に進んでラッキー!」なのですが、今回は根本が
「これじゃ安っぽくていやなんですよ!!」とダダをこねまくり、逆ダメ出しをするという事をやらかしております。
有井さんも、「これだから元原型師は…」と思ったことでしょう(苦笑)
このように、以前「『色』について」の時のお話をふまえつつ、素組み派の方にも、満足してもらえるように「成型色でも成立するライデン」を目指し成型色調整も頑張っております。 また「成型色そのまま」にもうひと手間、クリアーコート等を施してより見栄えのする「お手軽フィニッシュ法」などもご紹介できれば、と考えています。
でも…「全塗装したほうが、断然カッコいいよね」と思う、「元原型師」でした!
では皆さん、発売までもう少しだけ待っててくださいね!
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