Home > Archives > 2008-12
2008-12
「中国工場開発担当・菅野よりコメント第2弾(苦労話編)」
2度目の登場となります、中国駐在・工場はり付き開発担当の菅野です。
今回は「世界名作劇場的な苦労話を」という感じで、そのあたりの話に触れてみたいと思います。
コトブキヤのバーチャロン・シリーズでは、ハイエンドCGから直接1次原型を作成するという「リバース・コンバート」なる技法がもちいられております。
開発・菅野がタッチするのはそのあとの、1次原型をさらにプラモデル用のデータとして変換する作業でありますが、たとえば有能な通訳さんが、自国語を他国語に完璧に変換することは難しいがごとくに、変換工程において、どうしてもわずかな「ニュアンスの相違」的な変換齟齬のようなものが生じることがあります。
それは、概ね1次原型の細かな部分で生じます。たとえばエッジとエッジがぶつかる角のC面の微妙な形状の差異だったりとか、はたまた、小さなモールドの「わりと表現レベル」の形状のわずかな狂いだったりとか….。それらはすべて修正対象となりますので、
●部品図面チェック
↓
●3Dデータチェック
↓
●光成形出力機による金型前成形サンプルチェック
●さらに金型を彫ってからも、成形サンプルのチェック
この様に、さながら絨毯爆撃的な確認・修正業務が続きます。
原型とハイエンドCG画をもとに、ひたすらに見比べて確認する毎日でありました。そんな日々も、生産が一段落した今となっては、良いおもひでであります。
そんなこんなで、ひたすらにもくもくと日々=(イコール)ハイエンドCGな確認業務を続けておりますと、当然といえば当然ですが、開発期間は百代の過客のごとく、どんどん過ぎていきます…….。
「ヒト・モノ・カネ」とはよくいいますが、プラモデル開発も同様に、この三命題の束縛から自由なわけではけっしてありません。
金型がいったんできてからも、実際に商品となる状態までは、何度もテストショットをくりかえして厳しいチェックをしていきますが、特にこの段階では、日々時間との戦いの様相を呈してきます。
生産開始までのスケジュール管理、中国人の現地スタッフとの金型修正の相談、はては工場駐在ゆえの、コトブキヤ本社とのさまざまな折衝等、日々時計の秒針音が「カチカチ」と脳内にコダマする、そんな仮想ドーパミン的な仕事がつづきます。わりと普通には見えないものが、見えるようになったりするときもあります(羽の生えた小人とか。パトラッシュ、僕はもう疲れたよ…)。
まあ、すでに出荷が近づいた今となっては、めくるめく人生、有彩色の1ページであります。
OT・ライデンに限ったことではないのですが、中国の現地スタッフとのコミュニケーション・ミスはわりとよくある話しです。
今回も成形サンプルを確認中に、1次原型には存在しないナゾの凹モールドを確認したため、(金型を)削って無くしてくださいとの依頼を欠けたところ、近接した本来必要な凹モールドも同時に消失(!)したなどを筆頭に、いろいろさまざまなミステイクのうえに、また「失敗は成功の母」がごとくに、製品版のOT・ライデンがこの世に存在しているのです。(問題の凹ディテールは、その後無事復旧しましたが….。(頭部のどこかデス))
そんな数々の失敗も、今となってはまるで無限に繰り返される学園祭前日のように、極彩色な夢の時間をすごしていたようなものでありました…..。
わりと長くなってしまいましたが、そろそろ時間がよろしいようですので、このあたりで。
ぜひとも製品版OT・ライデンをよろしくお願いいたします!!
- Comments (Close): 0
- Trackbacks (Close): 0
OT・ライデン付属品について語ります!
こんにちは、コトブキヤ・バーチャロン企画担当の根本です!
ついに発売間近となってまいりましたOT・ライデン!!
今回は、成型部品以外の付属品についてつらつらと語ってみたいと思います。
まず、プラモデルキットには当然入っている「組み立て説明書」模型業界的には「インスト」って呼んでますね。 インストラクションの略で、「インスト」って呼ぶとプロっぽい感じが出ます。 で、まあ、これがなくてはプラモデルは成り立たないわけです。
今回のOT・ライデンの説明書では、「電脳戦機バーチャロン」シリーズ・プロデューサー、Dr.ワタリによる機体解説+αを、当初の予定をはるかに超え、何と10000字オーバー! で載せちゃってます!
ここまでの量になるとはDr.ワタリも予想していなかったらしく、(当然我々も予想できてません!)当初のページ数や構成を変更するという事態にあいなっております(いや、ありがたいことです!)新規のハイエンドCG画像も多数掲載されていますので、気分はもう小冊子レベルです!(さらに、あっとおどろくネタも仕込んであります!)
OT・ライデンの組み立てに疲れた時などに、気分転換の読み物としても楽しんでもらえばと思います。
また、カラーガイドについても、何気にセガさん提供のハイエンドCGを使わせてもらっていたり割と贅沢なつくりになっております。 市販のプラモデル用塗料に準拠した配合比率(カラーレシピ)も、もちろん載せてますので、ぜひ塗装にもチャレンジしてくださいね!!
このカラーレシピ、さすがにセガさん提供というわけではないのですが、(まあ当然です)元になった完成見本(パッケージ横の写真)に実際に塗った色を作った時に、使った色をメモしてもらってものを基本に記載しています。 ただ、完成見本は、撮影~印刷の工程を経ているので「現物=写真そのまま」にはならないのですが、色関係には超コダワリのセガ・有井さんがOKを出した完成見本の色ですので、目指してみるのも一興かと思います。
さて、もう一つの付属品として、デカールがあります。
バーチャロン・プラモデルシリーズに関して、マーキングを「水転写デカールで行こう!」と決めたのは他でもない僕、根本ですが、これもやはり「塗装派の方の為に!」ということです。
ハイエンドCGのような質感表現を目指すなら、光沢仕上げに綺麗に映える水転写デカールで行くしかなでしょう! と。(そしてスリット部の黒は艶消しで決まり!ですね)
もちろん、成型色での素組みでも綺麗に仕上がります(その場合は、成型部品表面の油分をふき取るとベストです)
当然、裏面にのり付きの所謂「シール」という選択肢も当然考えたわけです。シールはデカールに比べ簡単に貼れるというメリットがあり一見簡単に思えるのですが、やはり段差に対する処理(透明余白部分をギリギリまで切るなど)を考えると、結果的に高い技術を要求してしまうのでは、という事も水転写デカールを選択した理由です。
また、「水につける」というひと手間があるものの、逆に言えば、「それだけで綺麗なマーキングが施せる」とも言えるわけです!
といった感じで、成型部品以外の部分にもこだわり満載のOT・ライデン!
もう少しで皆さんのお手元に届きますので、小皿に水を入れてお待ちくださいませ!
- Comments (Close): 0
- Trackbacks (Close): 0
「懐かしき初代ハイエンドCG」
容量が一杯になってしまったHDを整理している森氏のもとに現れたのは、AM3研の先輩であり師匠でもある成毛氏! OMG当時の昔話に花が咲きます…
成毛 伸和[Naruke Nobukazu]株式会社セガ 第三AM研究開発部所属
OMGからマーズまで全ての「バーチャロン・シリーズ」のゲーム製作に参加する開発チームの重鎮。
入社当時の森氏の教育係であり、テムジンの初代ハイエンドCGをモデリングした、ある意味「ハイエンドCGモデルの生みの親」的な存在。誰よりも清い心の持ち主だが『デビ○マン』の熱心なファンでもある。
森/(昔のファイル整理中)… ♪カ~キフーラーイー、つく~りますー…♪ っと、 あー、懐かしいなぁ、AM3研での初仕事じゃん。
なんか今見ると野暮ったくてパッとしないけど…、これはこれで可愛い奴だよね(笑)
成/デェーービーーーールッ!!!!
森/うぁ!! なによ、いきなり!?
成/その前には初代ハイエンドCGがあるだろう!? そいつのことにも触れてやってくれ!!
森/あぁ、そうね。バーチャロンのハイエンドCGの元祖と言えばナルちゃん作のテムジンだもんね。 じゃあ、当時を思い出しながら何か語ってよ。
成/えッ? オレが!?
森/そりゃそうでしょ。 あなたが作ったんだから自分で語りなさいよ。
成/…え、えーとですね、あの…その…。 …森君! ナビゲーターなんだからオレを導いてくれ!!
森/(世話の焼ける人だ…)んじゃ、初代ハイエンドCGモデルはバーチャロン最初期のパブリシティやゲーム中のランキング表示画面なんかにも使われてたわけだけど、この世で初めて『バーチャロンのハイエンドCGモデル』を作るにあたって苦労したことや、どんなことを考えてモデリングしたのか教えてよ。
成/え~と、最初は仕事じゃなくて、することが無かった時期にオレが、「何かに使えるかも」と思って勝手に作り始めたんだと思う。 で、その時に、カトキさんのデザイン画じゃなくてゲームモデルの方をベースにしたんだよ。何故かって?実際にゲームで動いてるのはゲームモデルだから、まずはそれをブラッシュアップすべきだと思ったのさ!
森/あ、そうなの?デザイン画に似てないのはともかく、そんないきさつで作られるようになったんだ。
成/そうそう、で、作り始めたのはいいんだけど、当時のコンピューターのパワーでハイポリゴンを扱うのは厳しくてな、一枚の絵をレンダリングするのに何日もかかったりして大変だったんだぞ!
森/んで、そんな思いをして作った初代ハイエンドCGモデルを、オレがゴリゴリ改造しちゃったわけだけど、正直、面白くなかったんじゃない?
成/それはそれ、これはこれだから問題ないぜ!森君が入ってハイエンドCGモデルのフォーマットを確立したから、こうやってOMG~マーズまでのバーチャロイドが世代やメーカーの枠を超えて商品化されるんだからな! だいたい初代ハイエンドCGモデルを今、プラモデルにされても嬉しくないだろう!?
森/確かに、今更アレを出されてもねぇ~。
成/あ…やっぱりそう思う…? そっか、そうだよな……。
森/い、いや、初期のガレージキットやプラモデルは初代ハイエンドCGモデルがベースでたくさん出てたし、アレはアレで味わい深くていいんじゃない? 好きだ、って人もいると思うよ。
成/そうか…そうだな! 今度の新ハイエンドCGモデル準拠のコトブキヤさんのプラモデルも、 たくさん売れるといいな! オレも買うからな! おっと、もうこんな時間か!?
森/ナルちゃんには、また出てきてもらうこともあると思うから、その時はよろしくね~。
成/おう、任せとけって!じゃぁ、またな!!
森/お疲れ~。
森/…当時たくさん出てたから、ね…(苦笑)ま、それはそれ、これはこれ、か。 さて、ファイル整理の続きをしようかね…♪ カ~キフーラーイー…♪~
- Comments (Close): 0
- Trackbacks (Close): 0
「OMG・テムジン『色』について」
皆さんこんにちは、セガAM3研 森です。
「OMG・テムジン」の原型着彩見本も公開されましたので、今回は「OMG・テムジン」の『色』についてお話しようと思います。
代々テムジンのイメージカラーといえば『青×白』だと思いますが、意外にもその色味自体はタイトル(OMG~マーズ)によってけっこう差があります。
ハイエンドCGモデル化する際にも色味を調整していますが、例えば青に関しては、「OMG・テムジン」は赤みの強い紫に近い青ですし、「OT・テムジン」は緑の多いスカイブルーっぽい爽やかな青です。「747A」の青は濃淡の2色使いですが、最初にこのパーツ単位での塗り分けのない、カトキさんによるストリームラインでのカラーデザイン画を見た時には、それまでのメカデザインの常識を覆す試みにドキドキしながらも「これでこそバーチャロンだよな!」とワクワクしたのを覚えています。おかげでハイエンドCGモデリングが大変で泣きを見たのも今ではいい思い出です…。
「747J」では公安組織っぽいキャライメージから、かなり濃い目の青になりました。ラインのパターン自体も、PS2のテクスチャー容量の限界から「747A」の曲線のストリームラインが綺麗に表現できなかったため、直線主体のラインに改められました。結果としてシャープなイメージが強調され、『強い主役機』を印象づける効果を発揮してくれたと思います。
だいぶ「OMG・テムジン」から脱線しましたが…同じ『テムジン』というキャラでも、シリーズごとに、デザインに応じて細かく考えて色設定をしているというお話でした。という訳で「OMG・テムジン」のプラモデル用の色指定もこのイメージに沿うよう慎重に選定されています。とは言え、成型色に関しては前回、根本君が語ってくれたように、実際に成型品を見ないことには最終的な判断はできないので、まだまだ気が抜けません。白に関しては有井が明確に、「コトブキヤさんが出してるコ○ンドウ○フの白で!!」と言うので、それをそのまま指定しました。こういうのは楽でいいですね(笑)
もちろん成型品を見て、ちゃんとチェックは入れますが。
そして今回は1Pカラーの『青×白』でのキット化ですが、「OMG・テムジン」の公式カラーバリエーションには2Pカラーの『赤×白』、練習機という設定の『黄×白』、そして『ワンマンレスキュー』に登場の「四ノ影」の『黒×オレンジ』、『フラグメンタリーパッサージュ』に登場の「白騎士仕様」の『白×銀』がありますね。
特に四ノ影は劇中の凶暴さと相まって人気がありそうです。
「練習機」も通好み(マニアック)な位置付けで味わい深いですね。白騎士はOMG~マーズまで各世代のテムジンで存在する稀有なカラーバリエーションですのでプラモデルで並べてみるのも面白いかと。707系テムジンについては、まぁ、そのうち(笑)
もちろんオリジナルカラーだってなんでも有りです。好きな色を塗ってみるのもいいですし、「10/80(テン・エイティ)」の『グレー×ブラウン』で塗ってみて、「10/80に偽装して、敵を油断させ戦果を上げるという戦術をとっていた」なんてオレ設定を考えてみるのも楽しいですね。
…自分で言っといてなんですが、設定として地味で夢がないですね、コレ(泣)もちろん「2Pカラーが一番好きだ!!」、という方もいると思います。実は自分も2Pカラーの「OMG・テムジン」がかなり好きなのです。
だって「ジ○」みたいでカッコいいじゃないですか♪
- Comments (Close): 0
- Trackbacks (Close): 0
Home > Archives > 2008-12
- [Search]
- [Feeds]